月物語2 ~始まりの詩にのせて~
「囚人に殿などつけるな。
お前のは、答えになっておらぬ。
主上と祝融様は、一度張湯に会いに行ったそうだな。」
「はい。
杜廷尉から報告があがっています。」
「ふむ。」
郭丞相は、白が混じり始めた顎髭を撫でた。
考えるときの癖である。
楽布には掴めていない何かが、郭丞相の頭には浮かんでいるのだろう。
「手の者を呼べ。」
郭丞相がそう言ったのは、二刻後だった。
メニュー