月物語2 ~始まりの詩にのせて~



「囚人に殿などつけるな。
お前のは、答えになっておらぬ。
主上と祝融様は、一度張湯に会いに行ったそうだな。」



「はい。
杜廷尉から報告があがっています。」



「ふむ。」



郭丞相は、白が混じり始めた顎髭を撫でた。



考えるときの癖である。



楽布には掴めていない何かが、郭丞相の頭には浮かんでいるのだろう。



「手の者を呼べ。」



郭丞相がそう言ったのは、二刻後だった。




< 137 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop