月物語2 ~始まりの詩にのせて~


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朱雀は城外の門を抜け、街道を駈けていた。



「まだ手配が回っていなくてよかった。
門を抜けられるかどうかが心配だったのですが。
これも主上がお頑張りになったからです。」



礼の横に並んで走る張湯が言った。



「遠回りしたし、あたしもいたから、本当間に合わないと思ったわ。」



馬の背で、礼の声が揺れる。



朱雀は、おそらく誰かが手を回したのだろうと考えた。



―東苑か、獅子か?



だが、朱雀が気になっているのはそんなことではない。



後ろの二人だ。



礼は、城から出てずっと馬を駈けさせていた。



馬には初めて乗るという。






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