月物語2 ~始まりの詩にのせて~



朱雀は、いちをの乗馬訓練はしていた。



適当な乗馬はできる。



初めて馬に乗ったのは遙か昔だが、怖いと思ったことをうっすらと覚えている。



だから、馬を駈けさせるどころか、乗って歩くのも難しいと知っていた。



朱雀と伯升が前を走り、その後を礼たちが続く。



朱雀の意識は、常に背後にあった。



本来なら礼の隣を駈け、張湯と伯升が前後を挟む形で走る。



そうしないのは、馬を扱えない礼を張湯に任せるためだった。



後ろが気になって仕方がない。



乗れる。



それ以上でもそれ以下でもない。



まさか、こんなに馬を駈けさせる日が来るとは夢にも思わなかったのである。



礼の隣を駈ける張湯を見て、何故か朱雀は後悔していた。





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