月物語2 ~始まりの詩にのせて~
朝議でちんたらやっている場合ではない。
膨大な選択肢の中から、皆が最善の答えを、それこそ最短で出して、救い出せるかどうか。
もはや一刻の猶予もない。
「そろそろ王を迎える準備をした方がよいのではないのか、劉巾。」
東苑(とうえん)の言葉が現実に引き戻す。
「もっ、もうそんな時間か。」
「父の後を、立派に継ぐのじゃぞ。」
「はい!」
劉巾はいそいそと出て行った。
秘密会から紅一点の彩夏が抜け、一旦は爺、中年、暑苦しい男だけになってしまったが、若い芽の劉巾が入ったことにより、少なからず爽やかになった。
それでも、男だらけというのは変わらないが。
爺・東苑は、顎髭を撫でる。
―若いとは、羨ましいのう。