月物語2 ~始まりの詩にのせて~
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何か不思議な一行だった。
四人組である。
小柄な少年が、木でできた猫の人形を欲しがっていた。
猛広(もうこう)は丑州の町の一角にある小物屋を営んでいた。
「駄目です。」
「てか、そんなん邪魔だろ?」
「だって可愛いじゃない。」
「そういう問題ではないのです。
この人形は…
「この人形は、幸せを運ぶ猫なのですよ。
お客さん、この辺のお人じゃありませんね?
特別にお安くしておきますよ。」
頭巾を深く被った男の目がこちらを見た。
一瞬目が赤く光ったように見えて、ぞっとした。
それにしても、女のような少年だ。
声も高い。