月物語2 ~始まりの詩にのせて~
――――――――――――――――――――――――――――
王がむくれていた。
男の格好をするのも、獣肉を食らうのも何の文句も言わなかった。
むしろ、朱雀が騒いでいたほどだ。
その王が、猫の人形を手にできなかったことにむくれていた。
朱雀が一生懸命宥めすかしている。
こういう一面があると知って、張湯は安心した。
王も、人なのだ。
「あれは、宗教の一種なのです。
しかも、天の教えと相反するものです。
どうか、祝融様のお立場をご理解していただけませんか?」
王は俯いた。
いじらしい。
張湯の胸には何か熱いものがこみ上げてくる。