月物語2 ~始まりの詩にのせて~
翌朝、日の出と共に出立した。
山道は馬を引いて歩いた。
王の白馬は山中では目立つ。
王はその馬を気に入ったようで、馬も王を受け入れた。
だから馬を変えることはしなかった。
馬との相性は大切だ。
少々目立つのは仕方がなかった。
「この先に、何かいるわ。」
突然、王が立ち止まった。
「月光がそう言ってる。」
王は白馬に月光と名付けた。
月夜の晩に出会い、月の光で馬体が光って見えたからだという。
旅を始めてもう一週間が経つが、王は何か自分たちが気づかないものを敏感に感じとる。
馬ともすぐに会話できるようになった。
そういうときに、格別な存在なのだと考えざるを得なくなる。