月物語2 ~始まりの詩にのせて~
花英は未だ陽春の死に疑問を持っていた。
縊死。
それは紛れもなく陽春が精神的に追い詰められたということになる。
王を自らの手で守ることは、考えなかったのだろうか。
それすら考えられないほど、陽春は追いつめられたのではないだろうか。
何故、陽春は戦わずして死したのか。
花英には疑問しか浮かんでこない。
だが一つ確信していることがある。
そこにはあの少女が関わっているはずだ。
陽春が死する日、少女は陽春の部屋を出入りしていた。
何故、彼女が。
やはり、そこにも疑問しかなかった。