月物語2 ~始まりの詩にのせて~


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孫四娘が方狼にべったりとくっついていた。



四六時中色目を使っている。



荻青は気持ちが悪いと思ったが、栄楽が来るまでとひたすら耐えた。



役所があったところを方狼は砦にしている。



部屋の端には、柴道が縛られていた。



「お初にお目にかかります。」



栄楽が深々と頭を下げた。



孫四娘は、ちらりと栄楽を見ただけで、すぐに方狼に向き直った。



首に手を回している。



「荻青がどうしても合わせたい男だというが。」



「お会いできて光栄です、方狼様。
栄楽と申します。」



「栄楽。
お前は頭が切れるそうだな?」



「私が保証します。」



荻青は言った。





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