月物語2 ~始まりの詩にのせて~
「荻青はなかなかの部下だ。
だが、俺の右腕になるにはまだ早い。
ここへ来てそんなに経っていないしな。
ただ、軍師がいない。
お前のような男を探していたところだ。」
方狼の栄楽を見る目が細められた。
「柴道は、何かやらかしたのですか?」
荻青は部屋の隅に目をやった。
柴道は最近入団した者だ。
頭が切れるので、軍師になったはずだ。
「子奴はうるさい!
頭がいいのは認めるが、賊徒には向かん性分をしている。
やれ、民を殺すな。
女を捕らえるな。
女など、こいつのように従順であればよい。」
孫四娘の目が一層潤んだ。