月物語2 ~始まりの詩にのせて~



「私はその様なことは申しません。」



「ほう。
だが、お前も柴道と同じ目をしている。」



「いいえ。
私はこの国を滅ぼしてやりたいのです。
私の目は、ただ国を壊す方法だけ見定めております。」



方狼が下を向いて、肩を揺らし始めた。



やがて、大声で笑い出した。



「国を滅ぼす?」



方狼は孫四娘をのけ、栄楽に歩み寄る。



荻青は少しだけ身構えた。



「面白い。
お前を軍師にする。
決めた。
柴道を牢にぶち込め。
いや、下僕として働かせろ。」



柴道は特に抵抗する風でもなく連れて行かれた。



荻青は力を抜いた。



これで、潜入は成功だ。



孫四娘がまた、色目を使い始めていた。





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