月物語2 ~始まりの詩にのせて~



「明道殿、お別れです。
お二人が無事でいることを、祈っていてください。」



花英は言ってしまうと、部屋を飛び出した。



くれぐれも私が言ったとはご内密に、という言葉を背で聞いた。



明道がどんな顔で見送ったのかわからない。



庭が赤く染まり始めた。



草木と一緒に、花英の何かも燃えている。



荷はいらない。



大事なものなどここにはない。




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