月物語2 ~始まりの詩にのせて~
「あの方、とは?」
そう問いた途端、きっと睨まれた。
大人びた雰囲気が消え、少女は怒っていた。
「お前など、駒でなければ殺してやるわ。」
その憤りを見て、明道はやっと落ち着きを取り戻した。
少女は少女だ。
「私は、王宮に残ります。
ここでやるべきことがありますから。」
少女は、ふんっと踵を返して出て行った。
やはり、何かおかしい。
王宮が、この国が、誰かの陰謀に巻き込まれているのではないか。
明道は二人のこととは別の不安を拭いきれなかった。