月物語2 ~始まりの詩にのせて~
―4―
「もう…無理…」
砂漠に入ってまだ数刻だった。
礼には皆平気なのが不思議でならなかった。
日差しが熱いのか、空気が熱いのか、駱駝の背が熱いのか。
一体なにが熱いのかさえわからない。
張湯が申しわけなさそうに水を差し出す。
「それはあなたのでしょ。
大丈夫。」
「そうそう。
こんなことでへばってちゃ、この先は進めない。」
「おい!
伯升、お前、いい加減にしろ!
誰のおかげでここまで来れたと思っている。」
朱雀は意外にも元気だった。