月物語2 ~始まりの詩にのせて~
「賊に村を追い出されたようです。」
伯升が戻ってきて報告してきた。
「どこの村だ。」
「この先の小さな村のようです。
俺たちが向かう町をちょっと外れたところです。」
それから礼をちらりと見て、張湯に何か耳打ちする。
「…―。」
「…―!?」
その二人を気にする風でもなく、朱雀はぴったりと礼に張り付いている。
「何かしら?」
「我々に必要なことであれば、話すでしょう。」
「そう。」
それ以上は何も言えなかった。