月物語2 ~始まりの詩にのせて~
「私の兄は御史太夫をしておりました。」
礼は頷く。赤国に帰ってから聞いた話だ。
「兄が私に最後に命じた仕事、それが子州にいる楊太僕の警護でした。
現在、子州は賊徒の巣窟です。
この事態は、私が任務を果たせ無かったことにもよります…
当時、前もって色々調べていたのですが、州境の兵たちは当てになりません。
役人、軍共々腐りきっているのです。
私が王宮から呼ばれたのには内部告発の意図もありました。」
賊徒のことは、東苑からも聞いた話だった。
だが、役人や軍はそれほど駄目になっているのか。