月物語2 ~始まりの詩にのせて~
「村人が行ったところで、見殺しにされるのは目に見えています。
これから向かう村は、小さいですが裕福です。
銀も少しばかりありますから、村人を預かってもらえないか、交渉するつもりです。
銀は伯升の持参金で何とかなりそうですので、礼様のお手を煩わせることもありませ―…」
―バシンっ!!!
思わず張湯に平手を打っていた。
その行為に自分自身戸惑う。
張湯を打つのは二度目だ。
一度目は牢の中での演技だった。
あの時とは違い、少し胸が痛い。
張湯をぶったからではなく、張湯に信頼されていないと感じたからだ。
「どうして…
どうして私が煩わしく思うの?」