月物語2 ~始まりの詩にのせて~
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村に着いたのは、丁度日が落ち始めたころだった。
朱雀ははらはらしながら礼を見ていた。
連れてきた村人の手当てをしだすは、入った村との交渉をしだすはで、気が気でなかったのだ。
「お嬢さん、あなたがこんな事をならさなくてもよいのですよ。」
と夫人が。
「いいの、いいの。
明日には去らなきゃだし。」
「村人にも大変な銀を払ったとか。」
と痩せた男性が。
「こんなに綺麗な手じゃ。
どこのお嬢さんかえ?」
と老婦人が。
「家なんて、関係ない。」
「せめて、お名前だけでも教えてもらえまいか。
いつか恩返し出来る日がくるかも知れませぬ。」
と長老が。
「本当に、僕がやりたいだけだから…って、何で男装ってバレてるの。」
村人たちはキョトンとしている。
「それはそうでしょう。
そんな美しい少年にいられると、男たちはみんな困ります。」