月物語2 ~始まりの詩にのせて~
「この付近には、我々の村を含め、三つの村があります。
その村同士の結びつきは強く、三つの村で共存しているのです。
その一つの村に緑洲があり、我々はその村から水を分けてもらうのです。
水の出るところでは、作物も育てられますから、作物もその村からいただきますね。
あと、放牧をしているむらもあります。
そこでは動物からとれる毛で、織物業も行っております。」
「じゃ、ここでは?」
「商いです。」
「えっ?」
「ここは、水も出なければ放牧もできません。
しかし、銀があります。
なぜかわかりますか?」
「その二つの村から生産されたものを、売買する?」
「そう。
銀は、村を守るために必要です。
役人への賄賂は、村の生活をある意味安定させるのです。
銀を生み出すのは我々で、農作物を育てたり、家畜をするのとは全然別の能力を要します。
我々はこの地の人間ではありません。
流れ者ばかりですが、商いに関しては秀でたものがあります。
あなたとの取引は、実によいものでしたよ。」
それで村長が若いのか。
「それって、私が駄目ってことじゃ。」
礼ががっくりきている。