月物語2 ~始まりの詩にのせて~
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知りたい。
それが自分の気持ちだった。
朱雀は不服そうだったが、礼の意志に渋々応じた。
だが、張湯だけは反対した。
数歩下がった所で待機する、という条件でやっと落ち着いた。
「お姫様、お手を。」
芥が恭しく手を取り、外へ連れ出された。
石段に腰掛けようとすると、さっと布が引かれた。
「星が、綺麗…」
「そうですか?
これが当たり前だと思っていましたが。」
暫く星を眺めた。
「あの晩…村が襲撃された晩、私はあの村の近くを通っていました。」
「夜なのに?」
「夜は危険ですが、作物を運ぶのは夜の方がよいのです。
日中はすぐに腐らせてしまいますから。」
「なるほどね。」