月物語2 ~始まりの詩にのせて~
朱雀は、話しながら考え込むようにしていた。
「『星明の国』ていうのは、生きている世界のことかしら?」
「そうです。
星明とは当て字で、本当は『生命』と書きます。」
なるほど、と礼は思った。
「雉院は、わざと飛燕の心を身体に残した。
そして、その目的を飛燕も叶えようとした。
彩夏が言ってたわ、飛燕は自分から王の器になることを志願したって。」
「私は、牢に入れられてから、雉院の謀略に気付きました。
あなたが赤国に来て、飛燕があなたの意識に干渉しだしました。」
「あなたは、それを妨害していた。
だから、満月に近づくときは、飛燕は出てこなくなって、新月には長く話せたのね。」
「私の力も、月の満ち欠けに影響されますから。」
「今思えば、あの“夢”も、あなたが見せていたのね。
赤い鳥は、まさにあなただった。
血だらけだと思ったのは、あなたの赤い羽根。
だから、劉向は『守られた』っていった。
でも、次の新月までは持たなかった。」