月物語2 ~始まりの詩にのせて~
「ほら、飲め。
最初は口をぬらす程度に。
それからゆっくり飲むんだ。」
少年はこくりと頷き、言われたとおりにした。
獅子からだと受け取るようだ。
「次の町まで連れてく。」
「えぇ。
ところで、君、この方を見なかったか?」
王の似顔絵を渡した。
獅子は紙を受け取り、少年に渡す。
少年は獅子に向かって、ふるふると首を横に振った。
「お前の予想が初めて外れたな。」
獅子がにやりと笑う。
こう言う言い草が、花英を冷静にさせる。
「とにかく、襲撃に巻き込まれていないようでよかった。
おそらく王は千日紅でしょう。
明日はそちらに進路を変えます。」
「だな。だが、賊はどこにいったんだ?」
「それは後で。
この子もいることですし、隣町まで急ぎましょう。」
花英は今度は笑えていると思った。