月物語2 ~始まりの詩にのせて~


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柴秦は二、三日牢に入れられ、その後街の捕虜たちと一緒に牢役に充てられた。



牢城の外の畑である。



楊太僕の公共整備のお陰で、こんな場所にも作物は育つ。



―俺は、何をやっているのだ。



楊太僕を助けに来たはずだった。



賊徒の中に入り込み、参謀として扱われた。



今はただの捕虜としか言いようがない。



どうしても、民を苦しめる賊の行為を見逃せなかった。



口出しがすぎた。



そんなことはわかっている。



柴秦が煙たがれ始めた頃、荻青が頭の切れる男を連れてきた。



参謀交代。



自分に残された道は死しかない、そう思ったが人手の足りない労働に回された。



楊太僕はどこにいるのか。



結局無事の確認も出来ずに、自分はここにいる。





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