月物語2 ~始まりの詩にのせて~
それにしても、どうして楊太僕の身元が割れたのか。
楊太僕はあまり表に出ていないので顔は知られていないはずだ。
賊内に王宮の関係者がいるのか?
それもかなり上層部に。
―裏切り…。
有り得ない。
それは、軍師を勤めていた自分が見落としていたことになる。
そもそも自分は軍師として雇われることもなかっただろう。
しかしながら、おかげで楊太僕は無事なのである。
あとはもう、自分のすべきことをするだけだ。
―だが、どうすれば…
夜があっと言う間に更けていった。