月物語2 ~始まりの詩にのせて~
肩を軽く叩かれた。
明るい。
いつの間にか眠ってしまった花英は、少年に起こされた。
「珍しいな。
それに、今日は姫に会えるかもって日なのに。」
虚ろな意識の中、獅子の言葉を聞いて花英は飛び起きた。
自分は何を呑気に寝ているのだ。
つんつんと少年が袖を引っ張ってくる。
何か言いたげだ。
「どうした?
すぐに支度をする。」
少年を余所に、立ち上がる。
着物は枕元に用意されていた。
花英が着替える間、少年はそばでじっと座っていた。
寝ぼけていた頭が回転し始めると、昨日のことを思い出して納得した。
ーあぁ、そうか。
少年は決めたのだ。
花英は獅子の隣に腰を下ろす。