月物語2 ~始まりの詩にのせて~
「決めたか?」
「………。」
少年は頷くと、口をパクパクさせ、手を合わせて跪いた。
最高の礼を示す。
少年は顔をあげ、再びパクパクと口を動かした。
「………。」
少年の口の動きで、その答えの確信を得る。
「いいんだな?」
獅子が真っ直ぐに少年を見て言った。
少年は獅子の見つめたままコクコクと頷く。
そして、笑顔を向けた。
その笑顔が一瞬陽春と重なって、花英はたじろいだ。
「お前にコイツをやる。」
獅子が懐から護身用の小刀を出した。