月物語2 ~始まりの詩にのせて~



「お前の母親が握ってたもんだ。」



少年が小刀に視線を落とす。



獅子はずっと持っていたのだろうか?



「護身用だ。
母は自分ではなく、お前のために使った。
だから、母を殺したのはお前ではないが、死なせたのはお前だ。」



「おい!」



少年の手が震えている。



獅子は何を言っているのだ?



少年の心をえぐっているとしか思えない。



それがここに残ると決断した少年への言葉か?



「お前は弱い。」



少年の顎から雫がポタポタと落ちる。



「強くなってオレのもとへ来い!
待っている。」



少年は嗚咽を漏らしながら、小刀を受け取った。




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