月物語2 ~始まりの詩にのせて~
「雉院が、“天の真実”をどうやって知り、闇烏や魂を入れ替える方法をどうやって手に入れたのかは、未だわかりません。
天について話せば、“天の罪”に問われます。
だから、私も雉院に従わざるをえなくなります。
例え、偽りの王だとしても。
雉院は、何もかも知っていたのでしょう。
話が反れましたが、雉院は宋春に暗殺を命じました。
華官は、御史に属していますから腕は立ちます。
それに、宋春なら雉院の専属ですから、御史大夫が疑われることもありません。
蒙御史大夫が次にしなければならなかったのが、雉院と王の暗殺でした。」
「私も?
なぜ?」
「朱雀を助けだされると困りますから。」
「御史大夫しか使えない牢、か。
で、蒙御史大夫は、なぜ弟を?」
「本人が死んでしまったので、あくまでも憶測ですが、弟の張湯は、皆に好かれていました。
その嫉妬心からかと。」
御史大夫が死んだ。
やはり、御史大夫の顔は浮かばなかった。