月物語2 ~始まりの詩にのせて~
張湯に任せるしかなかった自分が情けない。
ー姫…
2人だとなめた賊が5人で近づいてきた。
捕まっている捕虜が何か叫んでいる。
恐らく助けを求めているのだろう。
もうここまで来てしまったのだから仕方がない。
花英は剣を抜いた。
獅子も棍棒を構える。
獅子の間合いにはいる前に、5人の動きがピタリと止まった。
「………。」
「………。」
どういうわけか、白旗を振っている。
「動かないでー!」
遠くの捕虜の声が聞こえた。
その声が心地よすぎて、一瞬何も考えられなくなる。
ーあぁ、間違いない。
姫の…
……………
…………………。
「どーゆーことだ?」
獅子が代弁するかのように呟いたとき、少年姿の姫がはっきり目に映った。