月物語2 ~始まりの詩にのせて~
獅子に視線を送られ、賊たちがピクリと動いた。
少しは人の話を聞いて欲しい、と花英は思う。
だが、自分も聞きたかったことだ。
尋ねられた張湯が、困ったような顔をした。
「彼らは、
…えー………、
……その…………。」
張湯が言いあぐねていると、姫が胸を張って答えた。
「私が雇った賊だ!」
「………。
…………………。
………………………は?」
獅子の手が棍棒からずれ落ちる。
自分と同じ気持ちに違いない。
「だ~か~ら~、彼らは私が雇ったの!
潜入するためにね。」
姫は褒めてと言わんばかりに、腰に手を当てて仁王立ちする。
「ちょっちょっちょっ…
お待ちください!
本気なのですか?
貴女様はー…」
言いかけて、賊も一緒だったと言うことを思い出す。
「あの方をお助けしたい気持ちはわかります。
ですが、どうかお考え直しください。
貴女様の身に何かあっては…ー」
姫の視線が鋭く突き刺さった。
自分はいけないことを言っているのだろうか?