月物語2 ~始まりの詩にのせて~
王の力か?
天の力か?
この女はやはり王なのだ、そう思った。
突然のことで動揺してしまったが、今考えるとあれは朱雀の力だったのではないか?
それはともかく、彼らは賊でないことがわかり、手下を得たのである。
彼らは、唐綿の自警団の生き残りだった。
行商の警護をしていたため、街の襲撃には巻き込まれなかったのだ。
帰って来たときには街は崩壊していたという。
死よりも過酷な現実を受け入れられず、復讐を遂げようと賊の振りをして塞に潜入しようとしていた。
つまりは、我々と同じことをしようとしていたのだ。
「ほら、賊じゃなかったでしょ?」
勘だろ?と言いかけて、やめた。
王というのは計り知れない。
彼らには、どこぞのお嬢様と言ってあり、疑ってはいないようだ。
そんな折に獅子たちと出逢った。
天は王の見方をしているのか?
だがここからは運だけでは進めない。
「作戦は頭に入っているな?
しくじるなよ。」