月物語2 ~始まりの詩にのせて~
賊は巨大な組織になっていた。
もはや、賊と呼ぶのが正しいのかもわからないほど、奇妙な集団とかしていた。
その組織体制は、不気味なほど軍に近い。
明道は、軍規のようなものがあるのではないかと思っている。
王と祝融が捕らえられたと聞いたときは、肝を冷やした。
張湯と伯升が一緒とはいえ、逃がすこともできなかったのだろう。
三人は生きている、それだけの情報しかない。
何人か潜入させてはいるが、外に出るのはおろか、書簡さえ出すのは困難だった。
情報が漏れないように徹底してある。
統率者は誰だ?
方狼にそれほどの力があるとは思えない。
誰かが背後にいる。
賢い者ならば、三人を悪いようにはしない。
寧ろ利用するはずだ。
だが、王は女であるが故に、危険であった。
方狼は好色なのだ。
軍が動かなかった今、明道の五百人で戦うしかなかった。
杜廷慰が譲歩した獅子一人に、内応を頼むしかない。
すでに、獅子の腕一つでどうこうなる段階ではないが、獅子の力は必要だ。
ーさて、獅子にどうやって我々の存在と作戦を伝えるか。