月物語2 ~始まりの詩にのせて~
「雉院もおそらく牢に行っていたことは知らなかったわ。
そういう口ぶりだったもの。
そういえば、彩夏は?」
ふと、気付いた。
赤国に到着してから、姿を見ていない。
娘の身体まで死んだのだ。
心配だ。
「実は…」
朱雀が、言葉を濁す。
礼は、朱雀の目を見据えて、先を促した。
朱雀は一呼吸して、話出す。
「劉向と組んでいた彩夏は、最後に気付いてしまったようです。」
「それって…」