月物語2 ~始まりの詩にのせて~



“天の罪”という言葉を礼は呑みこむ。



「けれど、間に合いいませんでした。
すでに、あなたは消えていて、飛燕の身体には雉院が入っていました。
さすが母というべきか、すぐに気づいたようですが。」



「で、彩夏は?」



嫌な憶測が礼の頭を過ぎる。



「杜廷尉が捉えています。
今牢に。
宋春も。」



最悪な事態でないことに、礼は安堵した。



「これらの話は、私たちが背負わなければなりません。
天について明かすことは、“天の罪”になります。」



「わかってるわ。」



また、沈黙が流れそうになった。



「先ほどの、房厨殿にいた女性について、聞いても?」



礼は頷いた。




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