月物語2 ~始まりの詩にのせて~
確かにそうだった。
彼女がいなければ、朱雀のあの一言だけでは到底理解できない。
「ん?
待って。
じゃあ、私が王っていうのは、官たちも疑ってるんじゃ…」
「それは大丈夫です。
生命の国の真実は知らずとも、黄国の存在は知っておりますから。
武則天様があなたを王と認めていますし、額の印が何よりの証拠。」
礼は、額に触れた。
忘れていた。
「そう。
それで、彩夏と御史大夫の弟には会えるの?
宋春は、難しいかしら。」
「今は、皆清罪宮です。
張湯には会えると思います。
私一人では駄目ですが、取り調べとかなんとかで、王ならどうにか。」
「で?」
「正式に会うのは、彩夏と宋春は厳しいかと。」
「どういうこと?」