月物語2 ~始まりの詩にのせて~
そうか、王は結末を見ていないのだったと、朱雀は気付いた。
「先ほど、彩夏があなたでないと気付いたと申しましたね。
そのあと…。」
朱雀が再び床に視線を落とす。
「娘にこれ以上罪を着せないため、雉院を刺しました。」
「!!!」
娘を、自らの手で刺したというのか。
礼には衝撃だった。
あの優しい彩夏が。
「あなたが帰ってきてくれて本当によかった。
彩夏までみすみす死なせるわけにはいかない。」
「えっ?」