月物語2 ~始まりの詩にのせて~
兄は、昔より大分無口になった。
だが、変わっていない。
張湯の好きな茶を入れてくれた。
このまま時が止まってしまえばよいと、何度思ったかしれない。
張湯と蒙易冶は、本当の兄弟ではない。
劉向に二人とも拾われた。
自分の下には、まだ十六の弟、劉巾がいる。
これも血の繋がりはない。
劉巾が拾われたのは、張湯も蒙易冶も昇級のことで悩んでいた時だった。
自分たち兄弟を独り立ちさせるために、父は劉巾を拾ったのかもしれない。
時々そんなことを考えた。