月物語2 ~始まりの詩にのせて~
言葉が見つからない。
楊太僕を救う道が、見つけられない。
見つけられないのは、彼について何も知らないからだ。
礼は、明道に協力したいと思った。
高官たちは、二分されている。
五分五分というところか。
ひたすら礼き視線を送っていた明道が、急に揺れだした。
本人は気づいているのかわからないが、先ほどより顔色が悪い。
「ちょっと―――」
礼が立ち上がるのと同時に、明道は倒れた。
医官が飛び込んでくる。
「だから、言ったではありませんか。」
医官のその呟きだけが、耳に残った。