月物語2 ~始まりの詩にのせて~



子州から広がった病が、民を疲弊させている。



栄楽にとってそれは耐えがたいことだったが、今は利用する方が賢明だった。



一時のことに心を揺らすわけにはいかない。



“仲間”も皆同じように苦しんでいるのだろう。



しかし、それが、新たな赤国を創り出す。



主人の顔も、女の顔も、頭から押しやった。



明日からが勝負だ。



栄楽は、冷たい砂漠の中にいた。



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