月物語2 ~始まりの詩にのせて~



刃物の冷たさが、よりいっそう際立つ。



危険信号が、けたたましく鳴る。



刃物に礼の体温が移った頃、男は唇の片側をあげて笑った。



「退け!」



扉の外で声がした。



礼は、視線を送る。



聞いたことのある声だが、知っているような、知らないような、妙な感じだ。



扉が開いた。



圧迫が消える。




< 57 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop