月物語2 ~始まりの詩にのせて~
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伯升(はくしょう)は王の部屋を抜けると、清罪宮に向かった。
ひょいひょいと壁を登ると、開いている窓から入る。
侵入した風で、灯火が揺れた。
伯升は細い換気口を伝って、例の場所に降りる。
―面白い。
ふと、王のことを思い出して、笑った。
ああいう目は、久々に見る。
女では、杜太廷以来か。
警備兵の巡回をやり過ごす。
扉の前には四人。