月物語2 ~始まりの詩にのせて~
青年がその人のもとを離れる時、最低限の対策として御史に属する隠密の軍・血死軍を手配していた。
それも王宮のごたごたに巻き込まれて来ず終い。
叩きだされても、しがみついていればよかったと、青年は後悔の塊に押しつぶされそうになる。
青年は、自分を蹴り飛ばして殴り倒して、もう本当にボコボコにしてやりたくなった。
「私は何とか救い出す方法を考える。
あの人を失っては、この国は終わりだ。」
「しっしかし―――」
「お前は王宮に向かえ。
動かせるものは全部動かせ。
いいな。」
部下は、青年の性格をよく知っている。
どれだけ、青年が彼を慕っているかも。
それに、確かにあの人を失うことは赤国にとっても痛い、というのもわかっていた。
「どうか、無理をなさらないように。」
それだけ言って、青年の部下は部屋を出て行った。
―赤国の未来には、あなたも必要なのですから。