月物語2 ~始まりの詩にのせて~
「嫌です!」
獅子が変な目で伯升を見ている。
果てしなく厄介だ、と張湯は思った。
「この男を倒してでも私はあなたを連れ出します。」
はぁ。
張湯は盛大なため息をもらす。
「お前では、獅子には勝てん。」
「そんなことは!」
「それに、私はここを出るつもりはない。」
張湯はぴしゃりと言った。
張湯が鉄格子を持ったまま、悄げている。
撃沈。
「そろそろ出ないとやべーぞ。
俺はともかく。」
「彼をよろしく頼む。」
「まったく、人使いあれーなー。」
「なっ、何を…」
そのまま伯升はおとなしくなった。
獅子に気絶させられたのだ。
「あんたをここから出せるのは、こいつじゃねーてことだな。」
獅子はにやりと笑うと、もと来た道を戻っていった。