月物語2 ~始まりの詩にのせて~
「素朴な疑問二。
姿が変わったりするの?」
異世界ともあれば、よくありがちなことだ。
朱雀が少し考える素振りをする。
「翼は今隠していますが。」
なるほど。
このまま翼が生えるだけ、と言うことらしい。
「素朴な疑問三。」
朱雀がお茶を運んできて、ちょこんと隣に座った。
―なぜ、向かいに座らない。
「あなた、強い?」
朱雀はちゃっかり自分のお茶もいれていた。
湯気を見つめている。
それには少し、間を置いてから答えた。
「強いと言えば強い。弱いと言えば弱い。」
「どういう意味?」
礼は余り深く考えなかった。
「天の力を使う、という点に置いては、四獣である我々の右に出る者はいません。
劉向も、とうてい及びません。
劉巾も、私が見ていますし。」
ほう、それは初耳だ。