月物語2 ~始まりの詩にのせて~



「素朴な疑問二。
姿が変わったりするの?」



異世界ともあれば、よくありがちなことだ。



朱雀が少し考える素振りをする。



「翼は今隠していますが。」



なるほど。



このまま翼が生えるだけ、と言うことらしい。



「素朴な疑問三。」



朱雀がお茶を運んできて、ちょこんと隣に座った。



―なぜ、向かいに座らない。



「あなた、強い?」



朱雀はちゃっかり自分のお茶もいれていた。



湯気を見つめている。



それには少し、間を置いてから答えた。



「強いと言えば強い。弱いと言えば弱い。」



「どういう意味?」



礼は余り深く考えなかった。



「天の力を使う、という点に置いては、四獣である我々の右に出る者はいません。
劉向も、とうてい及びません。
劉巾も、私が見ていますし。」



ほう、それは初耳だ。




< 68 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop