月物語2 ~始まりの詩にのせて~
「ただ、私も人に刺されれば血を流します。」
「つまり、軍人のような強さはないというのね。」
朱雀はこくりと頷く。
そして、なぜ、という目を向けてきた。
礼は、朝議について思案していた。
自分の無力さは、十分承知した上でだ。
無力で、無知だからこそ、見えたことがある。
臣下たちを見ていると、彼らは何を護ろうとしているのだろう、と、考えざるを得ない。
眺めるしかなかったからこそ、その答えに気づいた。
それには、少なくとも三つある。
“自分”“国”“民”