月物語2 ~始まりの詩にのせて~



初めの礼は、自分を護ろうとした。



好きな者だけと付き合い、嫌なことには目を瞑った。



雨乞いの時、礼はひたすら雨が降ることを願った。



民の為ではない。



自分の立場を護るためだ。



思いつきの平当への嫌がらせで、得をしたのは金大好だけだ。



礼の嫌がらせは、民に向けたも等しい。



自分は愚かだった。



雉院よりももっと。



雉院は、美を求めて生きた。



ただそれだけで、それだけではすまされなかった。



だから、死んだ。




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