月物語2 ~始まりの詩にのせて~
それでも、臣下は臣下として扱っていた。
あまり政治に関与しないのが雉院のやり方であったが、好き嫌いで選んだ臣下ではないように思う。
子州に捕らわれたという、楊太僕。
彼には、死をかけてまで追う部下がいる。
彼が礼にどういう評価を持つにせよ、この国には必要な人材である。
礼が必要とするかどうかではなく、王として必要かどうかを見極めなければならない。
東苑がいつか言っていた。
『できるだけ多くの者を乗せよ。』
きっとそういうことなのだ。
ならば、自分の守りたいものは国か。