月物語2 ~始まりの詩にのせて~
だが、楊太僕が重視するのは民だ。
彼が素晴らしい人材であるのは、民のために尽くして結果を残しているからである。
この世界において、民と国はどちらが重いのだろう。
国が整えられれば、民草は自分で幸せを掴んでいく。
だが、国を整えるためには、民草の力が必要だ。
どちらが先など、鶏と卵の問題と同じなのかもしれない。
結局は、鶏も卵も同じ重さの命がある。
禁軍は動かせなかった。
悔しい。
自分の未熟さが愚かしい。
今までの傲慢さを思い出し、礼は忸怩たる思いにかられた。