月物語2 ~始まりの詩にのせて~
―何かしたい。
自分の内からふつふつと出てくる欲に気付いたのは、朝議の最中だった。
恥を隠すためではない。
自分の役割を見つければ、王に近づけるような気がするのだ。
今、礼に使える力は少ない。
だが、誰にもできない、王にしかできないこともある。
そこから手を打っていく。
「城を、抜けたい。」
朱雀の茶器が、かたりと音を立てた。
「助けに、…行かれようというのですか?」
朱雀が不安げな顔を向ける。
礼は朱雀の目を見て言った。