月物語2 ~始まりの詩にのせて~
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朱雀は心臓が飛び上がるのを感じた。
―何だろ、これは。
「もちろん、あなたにも無理強いするつもりはないわ。
華官を見繕っていくっていう手もあるし。
彼らの腕は、確かよ。
ちょっと容姿が目立っちゃうのが難点だけど。」
朱雀が慌てる。
「いえ!
それなら、自分がお供いたします!」
「本当!?
ありがとー朱雀。」
礼は朱雀の手を取った。
その瞬間、嵌められた、と朱雀は思った。
「でも、やっぱり、腕が立つ人が必要よね。」
朱雀の手を持ったまま、礼はぶつぶつぼやいたのだった。